版画の中でも、凸版や凹版は、一般の方でもかなりイメージしやすい技法です。
たとえば、木版の場合、彫り残しの出っ張った部分にインクを付けて印刷します。
一方、銅版の場合は、工具などで彫った部分にインクを流し込み印刷をします。
ところが、リトグラフの場合は、これらの方法とは違い、平面であるにもかかわらず印刷することが可能です。
それは、水と油が反発することを利用しているからです。
描画には、常に油性の材料が使われます。
油性の材料で描画することで、描画された部分は水性のインクははじかれるため、思いのままに絵画を描くことができます。
リトとは石のことを指し、以前は印刷のためにヨーロッパ産の石灰岩が多く利用されてきました。
今は、利便性を高めるために、アルミ版やジンク版、さらには木なども利用されています。
それぞれ特徴があり、作家によって好みが別れるところです。
普通の絵画を描くように製作することができるため、画家のオリジナル作品も多く、芸術品として高く評価されているリトグラフも多く存在しています。