リトグラフは、版画の一種であり、水分が油をはじく性質を利用して制作される技法です。
リトグラフの語源となっている、リトは石を表しており、昔は石版の上に描く方法が用いられていました。
現在では、重たくて持ち運びが大変な石板よりも、軽量なアルミ版が使われるケースが多くなっています。
アルミ板のほかにも、ジンク版や木を使って製作している作家もいます。
制作方法ですが、最初に板の上にクレヨンなどの油性の画材を使って描きます。
そして、その上に特殊な溶液をかけて化学反応を起こさせると、水と油の反発作用が起こり、描いた部分以外にはインクが乗らなくなります。
その絵をプレス機で写し取ることで、版画が完成します。
このような過程で制作されるリトグラフは、木の板を彫刻で削ってつくる木版画と異なり、繊細で自由な表現ができるのが特徴です。
ピカソ、ゴヤ、ドラクロワなど、多くの画家がこの技法に注目して、さまざまな芸術作品を残しています。